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放流とは?/ レイク

[ 1024] 放流 (ダム) - Wikipedia
[引用サイト]  http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%94%BE%E6%B5%81_(%E3%83%80%E3%83%A0)

ダムにおける放流(ほうりゅう)とは、ダム貯水池内に貯留された流水などを下流に流す操作である。ダムの機能に応じて様々な目的で放流が行われる。放水(ほうすい)ともいう。
治水を目的としたダムにおいては、大雨時などの異常出水による流入をダムで受け止め、流入量以下の放流を行うことで下流への洪水を防ぐことができる。詳細は洪水調節の項目を参照。
洪水調節を行う前に、洪水調節容量以外の利水容量の一部を放流し、生じた容量を洪水調節容量に転化させることがある。これは事前放流と呼ばれ、洪水調節容量を増加させることで洪水調節の効果を向上させることが可能となる。
ただし、事前放流は本来利水目的である貯水容量を利水以外の目的で減ずる行為であり、放流量に見合った流入が得られない場合は利水の効用を無駄に落とすことになる。また、事前放流により洪水調節容量を確保するには一定の時間を要するとともに、この時間は通常よりも多い量の放流が必要となり、一時的に下流域への治水効果を減ずることにつながりかねないとも考えられる。このため、事前放流の運用に当たっては早い段階での精度の高い降雨の予測が必要となるなど、慎重な検討が必要となる。
このため、近年ではこうした事前放流を解消するために人造湖自体を掘削して新たなる貯水容量を確保したり、あるいは貯水池の有効貯水容量を変更して治水容量を増やすといったダム再開発事業が行われている。前者の例としては茨城県の藤井川ダム(藤井川)があり、後者の例としては宮城県の花山ダム(迫川)がある。
不特定利水とは、特定した権利者による用途がない水利用のこと。河川の水量を積極的・能動的に調節する為に治水のカテゴリに入り、通常は洪水調節機能と一緒に目的として付与されることから、単一の目的には挙げられない。このため洪水調節と不特定利水の2つを目的に持つダムは多目的ダムと呼ばれることはない。
不特定利水には大別して不特定かんがいと河川維持放流、フラッシュ放流の3つがある。いずれも一定の水量が通年放流される。
かんがいや上水道、工業用水の水源確保を目的としたダムにおいては、ダムからの直接取水によるほか、ダムから用水相当の放流を行うことで、下流域での用水の安定的な取水を図ることがある。通常は、既存の農地に対して農業用水を供給する場合にこの目的が付加されるが、補給量は既得水利権者(土地改良区など)が従前より水利権の定める取水量にあわせて供給される。ダムにとっては、新たな取水設備を設けることなく、既存の河川取水設備(頭首工など)を活用して供給ができることから、多くの多目的ダム・治水ダムにおいてこれを目的としている場合が多い。
補給基準点は既設の堰・頭首工・取水口所在地であることが多いが、中にはダム地点であったり特定の橋梁である場合もある。これらは、それぞれの河川における水利権や農地分布状況などに応じて設定される。
洪水時やかんがいを要する時期以外であっても、ダムからは常に一定量の放流が行われる。これは、下流域にダムがなかった場合と同量の流水を確保することで水生生物などの生育環境・生態系を維持するためである。河川維持放流は年間を通じて行われている放流であり、小規模なダムでは放流操作と特筆されないこともある。上記の不特定利水目的の放流も河川維持の一環と見なすことがある。
一般に多目的ダムや治水ダムにおいては河川維持放流が不特定利水の中に含まれており、広義の意味では治水にも該当する。ダムによって流水が枯渇し下流環境への影響が大きいと批判する意見があるが、多目的ダム・治水ダムではこの批判は当てはまらない。しかし発電専用ダムにおいては発電能力の減衰につながる無用な放流は避けたいとして、下流への放流は原則的になかった。このため大井川・信濃川を始め全国の河川において、水量減少による問題がクローズアップされた(詳細はダムと環境を参照)。
こうした問題の解決と、環境保護思想の高まりを受けて1997年(平成9年)に改正された河川法において、河川環境の維持が重要な目的として挙げられ、可能な限り全てのダムにおいて河川維持放流が事実上義務付けられた。これにより従来は放流を行っていなかった発電専用ダムにおいても、河川維持放流が行われるようになった。河川維持放流水を利用した小規模な発電所を設ける例もある。ただし、こうした発電専用ダムでは仮に河川維持放流が行われても、目的に不特定利水が加わる訳ではない。これとは別に、漁業協同組合の要請による漁業資源保護のための河川維持放流を行うダムもある。
河川維持放流の内、下流域の河川形態をより自然な状態に保全する為に人工的な小規模洪水を起こし、水質の正常化や流砂の連続性確保を図る目的で行う放流を特にフラッシュ放流と呼ぶ。近年実施されつつある手法である。
河川生態系の維持は従来は安定した環境の維持がベターと考えられていたが、過度の安定化は河床の固定化や瀬・淵の消滅、浮遊藻類の増殖による水質悪化が起こる事が分かってきた。河川生態系は本来は洪水の存在によって定期的に正常化され、維持される。このため人工的に洪水を起こして固定化した河川環境をリセットし、河川の清浄化と生態系維持を図る事が検討されるようになった。
1996年にアメリカのコロラド川にあるグレンキャニオンダムで試験的に人工洪水試験が実施され、2000年〜2002年に掛けてはスイスで国立公園公社と電力会社の共同事業として人工洪水試験が断続的に実施された。これによって瀬や淵の復活、浮遊藻類の除去や土砂の移動連続性がある程度確保できるなど一定の成果を得る事が出来た。日本では1997年(平成9年)より建設省(現・国土交通省)によって検討され、やがて国土交通省直轄ダムを中心に現在20ダムでフラッシュ放流が実施されている。主なダムとしては漁川ダム(漁川)・宮ヶ瀬ダム(中津川)・五十里ダム(男鹿川)・三国川ダム(三国川)・真名川ダム(真名川)・高山ダム及び比奈知ダム(名張川)・温井ダム(滝山川)などがある。
山形県にある寒河江ダム(寒河江川)の例を挙げると、朝10時に10トン/秒の放流を開始しその後徐々に水量を増加させ12時には水量を最大の30トン/秒を放流、次第に水量を減らして15時に終了するという手法である。終了間際には放流によって生じた濁水を正常化させるための後放流を実施し、一連の放流を終了する。この放流によって浮遊して悪臭を放っていた藻類を除去できた他、瀬や淵が保全されるなど河川環境の保護が確認された。現在は6月から11月までの間週1回実施している。
こうしたフラッシュ放流は漁業協同組合などの協力下で実施され、河川環境の改善に貢献している他、従来有効な手段が無かった堆砂対策の一手法として注目されている。関西電力が管理する旭ダム(旭川)ではこうした手法でダム堆砂の除去に取り組んでいる。だが開始されたばかりであり魚介類などへの影響といったエビデンスが蓄積されていない事から、今後の調査・検証が重要である。
ダムの中にはダム貯水池内に堆積した土砂を専用のゲート(排砂ゲート)から放流する機能を備えたものもある。ダム貯水容量を確保する為に重要な目的の一つではあるが、ダム貯水池内に長期間に堆積した土砂は一部がヘドロ化しているなど、排砂放流によって河川環境が著しく阻害されることを危ぶむ意見も少なくない。
観光地化しているダムでは、一種のイベントとして放流をする場合がある。富山県の黒部ダム(黒部川)や北海道の豊平峡ダム(豊平川)は当初から観光を目的として放流を行っている。神奈川県にある宮ヶ瀬ダム(中津川)では特定の曜日に定期的に観光放流を実施しており、新たな観光地として多くの観光客を呼んでいる。
このほか、洪水期を前にゲートを点検するために行う点検放流があるが、ダム管理事務所ではWebサイトなどを通じてこの試験放流の実施を事前に告知することがある。通常使われることがほとんどない非常用洪水吐きからの放流が行われるとあって、多くの観光客が訪れる。群馬県の矢木沢ダム(利根川)と奈良俣ダム(楢俣川)では年に1度夏に点検放流が行われるが、山奥にもかかわらず200人近くの観光客がダムを訪れる。広島県の灰塚ダム(上下川)では試験的に貯水を行う「試験湛水(しけんたんすい)」において、非常用洪水吐きから一斉に点検放流が行われたが、この放流が実施された一週間の間におよそ二万人が訪れている。同じ広島県の温井ダム(滝山川)のように平日に時間限定で繰り返し実施される放流もあるが、観光客を呼び寄せる一種の「観光放流」ともいえる。
ダムが放流を開始すると、河川は急激に増水する(下写真)。これは仮に下流部が晴天であっても上流部で放流を行えば増水をする訳であり、場合によっては死亡事故につながる危険性を十分にはらんでいる。従ってダムが放流を行う場合、河川法の第四十八条において「危害防止のための措置」が規定されている。
すなわち、「ダムを操作することによって流水の状況に著しい変化を生ずると認められる場合において、これによって生じる危害を防止するため場合」、言い換えれば放流による河川の増水で河川を利用する人間に危害を及ぼす可能性がある場合には、関係する都道府県知事・市町村長及び所轄の警察署長へ放流を通知すると同時に、「一般に周知させるための必要な措置をとらなければならない」としている。このためダム管理者は放流警報サイレン設備の設置、立看板による放流の注意喚起、あるいは電光掲示板による放流の通知などを通じて一般の河川利用者に対して注意喚起を促している。
この規定は河川法が全面改訂される以前、1957年(昭和32年)に施行された特定多目的ダム法施行規則の第九条において既に規定されている。これによればサイレンの間隔は約一分間隔、警鐘は約十秒間隔で適宜の時間継続することとしている。また、放流通知の看板(右写真)は縦140センチメートル~190センチメートル、横140センチメートル~160センチメートルとし、地面からの高さは120センチメートル~150センチメートルと定めている。さらに字の色も、冒頭の「危ない」は朱色、その他は黒色で記入することとも明記されている。現在においても、この規定が援用されている。
15:00 上流で集中豪雨。ダム管理所の職員、ダム放流の可能性があるため河原にいるキャンプ客に河原からの退避を促す。
このようにサイレンを鳴らし、かつ職員が巡回して河原にいる一般人に退避を促した後、放流を開始している。なお、キャンプ客はこの警告や勧告に従わず居残ったため、放流開始後も警察やダム管理所が再三退避を勧告したが最終的にこれを無視した。その結果翌8月14日の玄倉川水難事故となったのである。ダムの放流は急激な増水を招き、一旦逃げ遅れると強烈な水圧を伴う濁流が襲うため、人力では到底退避不可能となる。1982年(昭和57年)8月には奈良県の大迫ダム(紀の川)の集中豪雨に伴う緊急放流によって7人の尊い命が失われている。この時にはサイレンは鳴らされていたものの「聞こえなかった」という証言もあり、国会で問題になった。このためダムを管理する農林水産省近畿農政局は外部識者などからなる対策委員会を設置し、サイレンなどの装置を緊急に改善するなどの措置を講じた。
ダム管理者の責任も重大であるが、「大雨が降ったら川には近づかない」・「サイレンが鳴ったら川から上がる」という最低限の知識は備える必要が河川利用者にも求められる。
また、放流操作に対する問題点として、ただし書き操作などを始めとする異常出水に対して下流の住民が浸水などの被害を受けた場合、行政訴訟などの裁判に発展する例もある。例えば徳島県の長安口ダム(那賀川)や岡山県の新成羽川ダム(成羽川)などがその例であり、前者は住民敗訴、後者は和解という結果となった。また、三重県の蓮ダム(蓮川)では下流自治体が管理者に対し管理規定の改善を要求したり、高知県の早明浦ダム(吉野川)では異常出水で被害を受けた直下流の住民が集団移転するといった事態も起こっている。
放流操作は極めてデリケートなダム管理規定であり、各ダムごとに操作規定が設けられている。しかし地球温暖化の影響で集中豪雨が増加する現在では、さらなる細やかな対応が求められている。
国土交通省中国地方整備局 三次河川国道事務所 灰塚ダム管理支所 「灰塚ダムの役割・建設の歴史・維持管理」:2007年

 

[ 1025] 日本魚類学会
[引用サイト]  http://www.fish-isj.jp/info/050406.html

  2004年6月19日に東京海洋大学で開催されました日本魚類学会公開シンポジウム「淡水魚の放流と保全ー生物多様性の観点から」を契機に,魚類学会において「魚類の放流ガイドライン」の策定が必要であるとの合意が自然保護委員会でなされました.これを受けて,本委員会のメンバーである森,渡辺,前畑の各氏と三重大学の原田泰志氏を中心としたガイドライン作成のためのワーキンググループ(WG)が委員会内に作られました.それ以降,このWGで活発に論議・検討が重ねられ,2005年1月初旬に「生物多様性の保全をめざした魚類の放流ガイドライン(案)」が作成されました.このWG案を基に自然保護委員会で検討し,2月初旬に改定案(自然保護委員会案)が確定された後,役員会を経て,評議員のメンバーに賛否が諮られました.本自然保護委員会案は一部の修正をもって2005年3月26日に評議員会での承認が得られた次第です.
基本的な考え:希少種・自然環境・生物多様性の保全をめざした魚類の放流は,その目的が達せられるように,放流の是非,放流場所の選定,放流個体の選定,放流の手順,放流後の活動について,専門家等の意見を取り入れながら,十分な検討のもとに実施するべきである.
放流の是非:放流によって保全を行うのは容易でないことを理解し,放流が現状で最も効果的な方法かどうかを検討する必要がある.生息状況の調査,生息条件の整備,生息環境の保全管理,啓発などの継続的な活動を続けることが,概して安易な放流よりはるかに有効であることを認識するべきである.
放流個体の選定:基本的に放流個体は,放流場所の集団に由来するか,少なくとも同じ水系の集団に由来し,もとの集団がもつさまざまな遺伝的・生態的特性を最大限に含むものとするべきである.また飼育期間や繁殖個体数,病歴などから,野外での存続が可能かどうかを検討する必要がある.特にそれらが不明な市販個体を放流に用いるべきではない.
本ガイドラインの対象は,希少種を中心とする魚類の放流であり,その目的は地域集団(個体群)や生物多様性(※1)の保全である.放流は自然復元のための一つの手段であり,科学的・合理的根拠に基づいて実施されるべきである.本ガイドラインは,放流に関わる者が放流を行うことによる保全上の有効性を検討し,有効と判断された場合に,適切な放流集団を選択し,適切な場所に,適切な方法で放流するための指針である.
本ガイドラインを作成するに至った背景として,希少種や自然環境の保全をめざして,メダカやコイを含む魚類の放流が各地で盛んに行われている現状がある.残念ながら,これらの放流は,本来の生物保護や生物多様性の保全に役立っていなかったり,むしろ有害な場合すらある.国際自然保護連合が再導入のためのガイドライン(※2)にまとめているように,生物多様性の保全を目標とした放流は,自然復元プログラムとして位置づけられるべきである.
なお,本ガイドラインは,主として野生集団の保全を目的とする放流のためのものである.それ以外の目的を含む水産業やレジャー,ペット投棄などに伴う放流行為を対象としない.しかし,これらの放流も,生物多様性の保全に反して実施されることは望ましくないため,共通する検討事項は多いはずである.
種は一般に複数の地域集団(個体群)から構成される.地域集団は個々に異なる歴史的背景をもち,遺伝的分化を遂げつつある進化的単位である.したがって,放流は歴史的産物である集団の本来の姿を損なう可能性があり,自然環境の保全と相反する行為となりうる.放流が保全上有効な手段であることが予測・説明されない限り,安易に実施するべきではない.
しかしながら,希少魚や地域集団,ひいては群集の保護・保全のために,むしろ放流を促進すべき状況がありうる.例えば,人間活動によって直接・間接的に地域集団や群集がすでに大きく損なわれ,自然集団の維持や再定着のためには,人為的にそれらを復元したり,その補助をすることが求められる場合である.そのための手段としての放流は,上記の問題点に留意し,それらを解決した上で実施されなければならない.また,放流による集団の維持・保全の成功のためには,時間および人的・経済的コストがかかることも認識しておく必要がある.
それ以外の場合,つまり,絶滅の危険性が低い在来集団の生息場所に放流を行うことは,保全上の意義よりも悪影響が大きい場合があるので,放流以外の保全策を検討すべきである.例えば,分布生息状況や生息条件(水質,すみ場所,捕食者など)の調査,減少要因の解明,生息環境の保全管理と改善・整備,継続的な啓発活動などである.
在来集団および放流個体について,事前に十分な分類学的な検証を行うべきである.もし分類学的に未解決な問題が残った状況で放流を進めざるえない緊急な場合には,今後の分析のために形態および遺伝分析が可能な標本を保存しておくべきである.

 

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